日本の空手界には、大きくわけて伝統派空手とフルコンタクト空手があります。ほかにも剣道のような防具をつけて試合をする、防具付き空手や、キックボクシングのようにグローブをつけて打ち合う空手などもあるのですが、今回は伝統派空手とフルコンタクト空手の違いについて述べましょう。
伝統派空手という呼び方は、ある空手専門誌が1980年代に当時大人気だった極真空手とその分派(フルコンタクト空手)と、それ以外の寸止め空手を区別するためにつけた呼び方です。
フルコンタクト空手のルール金的や顔面など急所以外であれば、フルで打撃をしてノックアウトしてもいいというルール。伝統派は、ギリギリで止める攻撃でポイントを競うルールというわけです。
ルールが違うのですから、伝統派が優れているとか、フルコンタクト空手が優れているとか、強いとかいうことではありません。
言ってみれば、同じフットボールなのに、サッカーフットボール、ラグビーフットボール、アメリカンフットボールと、違うスポーツになっていったようなものです。
伝統派もフルコン派も、最初の全日本大会は、両方とも1969年に行われています。伝統派だから古いとかフルコン派だから新しいということは特にないんです。
ただ、フルコン派の元祖極真会は70年代80年代に「我々は実戦空手だ」とマスコミにアピールすることで大流行し、大流行したせいか次々に分裂分派していきます。いまのフルコンタクト空手のほとんどは、極真空手かそこから分派したものです。
柔道や剣道が統一されているのと違い、空手は数多くの流派があり、おなじ〇〇館や〇〇流を名乗っていても所属する団体が違っていたりと、分裂分派しやすい傾向にあるようです。
その背景にはお金の問題や、人間関係、新しいルールの空手をはじめたいという師範が出てきたりとさまざまです。ここで大切にしたいのは、少なくとも他流・多団体を否定するのではなく尊重するということでしょう。