元々空手は、試合をして技を競い合うものではなく、身を守る技術でした。柔道や合気道も元は同じく身を守る術ですが、この二つの武道と比べても、空手は護身術には向いているといえます。その理由を以下で解説していきます。
柔道や合気道と違い、空手は打撃技に特化しています。
つまり「空手を習う」ということは、「誰かから、いきなり殴る蹴るなどの攻撃を受けた場合の対処の仕方を学ぶ」ということでもあるんです。
最も実践的な護身術を身に付けられるのは空手なのですね。
ただし、逸らないで欲しいのは、護身術として空手の技を使わなければいけない機会はそうそう来ないだろうということ。
というのも、護身術には大きく分けて3つのポイントがあります
この場合、1と2でかなりの危険から身を護ることが可能でしょう。一般にイメージする護身の技は、あくまで「最後の手段」ということになるのです。
ただそれでもなお、空手を習うことは、護身術に大いに役に立つのです。
「逃げる」と言っても、体力や筋力がないとできませんが、普段から空手の練習をしていれば、その体力は十分につきますよね。
また護身として有効なのが「発声」です。
普段私たちは、大きな声を出すことをほとんどしませんが、空手では練習のときに大きな声で「気合」を入れます。「タスケテ」でも「ヤメテ」でも、大きな声で相手をひるませて、とっとと危険な場所から走って逃げるということが出来るのです。
それでも逃げられなかった場合、空手の技を使うことになるのですが、ここでご注意。刑法第36条1項に
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない
というのがあります。
いわゆる正当防衛についての法律ですが、いくら護身のためとはいえ、相手とケンカになって暴力を振るえば暴行罪になり、相手に怪我を負わせてしまえば傷害罪、万が一相手が死亡してしまえば傷害致死罪です。
空手家の拳は一歩間違えば凶器ですから、喧嘩で相手を死なせてしまうということは十分あり得るのです。
ではどうすればいいかというと、普段から鍛えている空手の技を使って「専守防衛」に徹し、危険から「緊急離脱」することです。
そして安全な場所に避難してから、警察に通報しましょう。今はそこかしこに監視カメラがありますから、事が起きた現場が捉えられていれば、犯人は十中八九社会的制裁を受けます。
人に打たれず、人打たず、事なきをもととするなり
これは、空手の4大流派の1つ、剛柔流の流祖宮城長順の言葉です。空手道は決してケンカの道具ではないということは常に心得ておきましょうね。